中にこっそり種をしのばせた、たねブローチ。
このたねブローチにある男性から『文旦』で作ってもらえるかとご依頼を受けました。
お世話になったおばあさんへお礼の贈り物にしたいとのことでした。
なんでもおばあさんは、台湾の台南で生まれ育ち台北で終戦を迎え日本に引き揚げたそうです。
台南で過ごした小学生時代は、ことの他思い出深いものだったそうです。
台湾では、中秋節(旧暦8月15日)が近づくと、あちらこちらで文旦が出回ります。
伝統的に中秋節の時には月餅と文旦を食べるそうです。
台湾の文旦は、台南の麻豆産がほとんどで品質がよくとても美味しいらしい。
『文旦』といえば高知の『土佐文旦』を想像していたのだけれど、台湾の文旦は違いました。
まるで西洋梨が大きくなった感じ。ところ変われば姿形も変わるんですね。
たねブローチ 『麻豆文旦』
(後日談)
先日、ご依頼主にお目にかかる機会がありました。
おばあさんがとても喜んでくれたとのこと、手のひらにちょこんと文旦をのせ、
にっこり笑ているおばあさんの写真もみせていただきました。嬉しいかぎりです。